未来の継承者の記憶を覗き見ることができるという進撃の巨人。
この特性に導かれるように継承者達は行動していきます。そしてエレンが「座標」にて始祖ユミルと出会った時、世界の運命が決定付けられました。
九つの巨人の中で「進撃」は特殊な立ち位置にいました。そして最終形態がバケモノになっちゃったわけですが…
始祖ユミルはどういう意図を持ってこの「進撃の巨人」を生み出したのか。この辺りを考察していきたいと思います。
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死ぬまで奴隷だった始祖ユミル
始祖ユミルは圧倒的な力を持ちながら死ぬまでフリッツ王の奴隷として過ごしました。
というより死んでからもずっと奴隷としての境遇に縛られていたともいえます。
第122話で語られたユミルの生涯には読者の誰もが同情を禁じえなかったことと思います。
全編を通して目に生気を感じられず、もはや魂までフリッツ王の支配に委ねてしまったかのように見えるユミル。
で、その可哀想なユミルを強固な意思力を持つエレンが開放してやったように見えたのですが…
「始祖の巨人」と「進撃の巨人」
少し話は飛びますが、以前の描写で疑問にあったことがあります。
現在、ライナー達が継承している「九つの巨人」は始祖ユミルが死後に自らの力を分割して生み出されたとされています。
で、ユミルの(直系の?)血を引く王家が全ての巨人を統べる「始祖の巨人」を継承してきたわけですが…
フリッツ(レイス)王家は「進撃」の特性を知らなかった
当然、始祖の巨人がユミルの力の本体を受け継いできたのだと思ったのですが…
気になるのは第121話で「進撃の巨人」の未来の記憶を覗き見る能力を明かされた始祖の継承者フリーダの反応です。
これまでの「始祖」の継承者の記憶まで受け継いでいるはずのフリーダが「進撃」の特性を知りませんでした。
これは明らかに不自然です。
考えられるとすれば、始祖ユミルが意図的に「進撃」の能力を隠していたということです。
つまり、「始祖の巨人」は始祖ユミルの全能を託されていたわけではないといえます。
エレンはユミルに誘導されていた?
そして同121話で、グリシャによるレイス家惨殺の暴挙は未来の継承者・エレンがけしかけていたことだとわかりました。
衝撃的な事実でした…
全ての黒幕はパラディ島以外の人類滅亡を決心したエレンだったのか…
そして、地鳴らしが発動されます。
が
そのエレンも、未来の記憶によって動かされていたのではないか?と思えるシーンがありました。
近いうちにみんな死ぬ…いや…オレが殺すんだ…
そう…すると決まってる
諌山創『進撃の巨人』第131話「地鳴らし」より
この段階では、明らかにエレンは自分のやることに確信を持てずにいます。ただ未来の記憶から自分がそうする、と知っているという状態。
そして、この時エレンが助けた少年が地鳴らしの犠牲になる直前、始祖ユミルの姿を目撃します。少年はユミルを知らないはずなので、この時はユミルが自ら姿を少年に見せたのでしょう。
ユミルはただ少年が踏み潰されるのを眺めています。
エレンの「奴隷」に対する反応
「地鳴らし」発動当初は、エレンの意思によって人類滅亡への一歩が踏み出されたのだろうと思われました。エレンが始祖ユミルの力を借りて実行したのだろうと。
しかし、地鳴らしの発動はユミルの望みでもあったと考えることもできます。
思えばユミルにも世界を終わりにさせてしまいたいとも動機は十分にあります。ユミルほど世界に絶望していた人はいないでしょうから…
で、ユミルがエレンをこのような行動に出るように操っていた、と捉えることもできるのではないでしょうか。
「…どっちだよ クソ野郎に屈した奴隷は…」
「誰が…奴隷だ」
諌山創『進撃の巨人』第112話「無知」より
アルミンとケンカをした時の「奴隷」という言葉への反応も、エレン自身がユミルの敷いたレールの上を進んでいるにすぎないという自覚があったのかもしれません。
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進撃の巨人こそが、ユミルの隠された本心だったのでは
ここまで見ると、クルーガー、グリシャ、エレンといった継承者達に未来の記憶を見せ導いてきた「進撃の巨人」の能力。
そして最終的には「座標」の始祖ユミルのもとに辿り着いたエレン。
こうしてユミルはエレンの呼びかけによって奴隷の呪縛から自らを開放した…ように見えるのですが
これが始祖ユミルの計画だったとしたら。
「進撃の巨人」はいついかなる時代においても自由を求めて進み続けた、とはクルーガーの説明です。
そしてその特殊能力は「始祖の巨人」を受け継ぐフリッツ王家ですら知りませんでした。
二千年をかけて継承者達を導き、自分を迎えに来させる。そして世界に復讐する。
これこそが始祖ユミルが心の奥底に封印した願いだったのではないか、というのは考えすぎでしょうか。
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