マーレ再建を目指す有能な軍人・マガト隊長(元帥)の目的

マガト隊長→元帥 それぞれの思惑
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マーレのエルディア人部隊「戦士隊」を率いるテオ・マガト。

(どことなく訓練兵団のキース教官とキャラが被っているのは気のせいです)

登場したての頃はエルディア人の兵士を高圧的に統率する上官のようなイメージでしたが、次第に人間的な魅力とカリスマ的な能力をもったキーパーソンとなっていきます。

マーレ編以降、人間関係や国際情勢など込み入った展開になってきた進撃の巨人。

なぜマガトはタイバー家と手を組んだのか?

マガトはそもそも何がしたいのか?

一部隊の指揮官からマーレ軍100万を束ねる立場となったマガト隊長の目的をまとめました。

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戦士隊隊長→マーレ軍元帥マガトの目的

マガト隊長の目的を一言で表すと

マーレの国力増強と覇権の維持

だと言えます。

軍人として当たり前と言えば当たり前の目的ではありますが、マーレ軍の中で現実的な未来のビジョンを持っていたのはマガトだけのようです。

軍議の席でも自分より立場が上(と思われる)将校たちにも遠慮なく意見を述べています。

以前より軍内で徴兵制復活論を提案するなどし改革を訴えていたとのことですが、軍での立場はそこまで強くなかったのでしょう。本格的な行動は取れていなかったと見えます。

そこへマーレの真の実力者、タイバー家から声がかかります。

こうしてマガト隊長、のちのマガト元帥は目的に向かって動き出すことになるのです。

マーレ軍の現状と問題

マーレは100万の軍とエルディア人の巨人化能力を利用し、世界の覇権を握ってきました。

しかし諸外国が巨人の力を上回る兵器を開発し始めたことでマーレの立場にかげりが。

いまだ巨人の戦力は圧倒的ですが、近い将来はマーレのこれまでの戦術は通用しなくなることが予想されました。

スラバ要塞の攻略戦では獣の巨人鎧の巨人が敵戦艦の砲撃で倒されかける危機にも陥ります。

何度も死にかけたことのある鎧の巨人ことライナーもこれはキツかったと思います。

軍の首脳陣はマガトに諭されてしぶしぶその現実を認めていますが、今ひとつ積極的な改革に進むような雰囲気がありません。

マガトとしては何かこの状況を打開するための手がないかと思案していたことだと思います。

ヴィリー・タイバーと手を組み軍を掌握

そんな中、マーレを裏で牛耳る実力者タイバー家の当主ヴィリーがマガトに接近します。

ヴィリーも現状のマーレを憂う者の1人でした。

ヴィリーとマガトの目的は完全に同じではありませんが、目的のための過程では大筋で利害が一致しています。

  • マガトはマーレの国を動かせるだけの権力が欲しい。
  • ヴィリーはマーレ軍を指導できる実力とエルディア人に偏見を持たない心を持った人材が欲しい。

2人は互いの目的のために手を組むことになります。

マガトとヴィリーはパラディ島の勢力がマーレを襲撃して来るだろうと予測しました。

そこで、襲撃を阻止するのではなく利用してやろうという策に出ます。

2人の策は的中し、エレンの襲撃でマーレの首脳陣を全滅させることに成功。

また、襲撃前のマガトとヴィリーの会話から2人はマガトが軍を掌握するための根回しを行なっていたことが推測できます。

こうしてマガトはマーレ軍のトップ「元帥」となってマーレを立て直すことになるのです。

マガト元帥の野望

冷静で頭脳明晰、志が高く人種差別の意識もほとんどない人格者であるマガト隊長元帥。

これだけ書くと聖人君子のようですが、マガトも人の子。それなりに泥臭い部分もあります。

何かを成し遂げられる人は大切なものを捨てられる人、というのはアルミンの台詞ですが、これは「進撃の巨人」のテーマの1つに思えます。

それに、マーレを強くするという純粋な思いだけでなく、マガトの個人的な野心も垣間見えます。

エレンのレベリオ区襲撃時

全員覚えておけよ。一番槍を入れたのはこの私だと

諌山創『進撃の巨人』第101話「戦鎚の巨人」より

エレンによるレベリオ区奇襲を迎撃する時のマガト隊長。

この後の軍の掌握を意識した発言だと思いますが、パラディ島勢力にはじめに反撃をしたのは自分だとアピールします。

「マガト隊長!」「元帥だ」

これまでのように「隊長」と呼ぶ戦士隊のメンバーに対していちいち「元帥だ」と訂正しています。

厳格な表情ではありますが元帥になったことがやはり嬉しいのか、ちょっと可愛いマガト元帥です。

仕事のできる男たるもの、上昇志向は必要ということでしょうか。

世界を救う使命に目覚める?

マーレ軍元帥となったマガト。

以前はマーレの国の存亡のみを念頭に置いていたようですが、元帥になってからは少し意識が変わったように思えます。

元帥になる前のマガトのセリフがこちら。

今後は巨人の力に頼らない。それがマーレの新たな国是だ。命令通りエレン・イェーガーはこの場で仕留める

第101話「戦鎚の巨人」より

レベリオ区襲撃の頃のマガトはエレンから「始祖の巨人」を奪うことは考えずその場で仕留めようとします。

エレンが死んで「始祖の巨人」がどこかの赤ん坊に継承されれば、その力の発現に最低でも10年以上はかかるだろうと思われます。

その間にマーレは軍事力を増大させ、敵が再び始祖の巨人を手に入れてもマーレは負けないだろうという計算です。

しかしマーレによるパラディ島への反攻の時には考えを一転させています。

今我々の肩には世界の命運が懸かっている。我々は決して始祖を殺し問題を先送りにはしない。

今ここで始祖を喰らい 100年の遺恨に終止符を打つ

第117話「断罪」より

マーレ一国のことだけでなく、世界を救う使命に燃えています。

100年の遺恨というのは始祖の力「地ならし」の脅威におびえ続けた世界とパラディ島の確執のことです。

エルディア人が悪魔の末裔と呼ばれ続ける一因にもなっています。

エルディア人に親しみを持つマガトのことなので、世界を滅ぼす巨人の力を無効化してエルディア人に対する世界の悪感情を消してやりたいという思いもあったかもしれません。

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最終目標は「世界を救う英雄」?

ここでちょっと意味深なセリフです。

我々には真の英雄へーロスが必要なのだ。世界を救う英雄が…

諌山創『進撃の巨人』第117話「断罪」より

英雄へーロスは100年前の巨人大戦で世界を救ったという伝説の英雄です。マガトはその英雄が再び必要だといっているのですが…

ここでいう「英雄」は誰を指すのでしょうか。

「始祖の巨人」を奪うためにエレンと戦っているライナーかガリアードでしょうか?

でも話の流れからすると彼らを英雄にするというのは唐突ですし、運命に翻弄されている自分の教え子ともいうべき2人にそんな重荷を背負わせるような人とも思えません。

では命を賭してパラディ島への反撃のきっかけをつくったヴィリーでしょうか?

確かにヴィリーは英雄扱いされてもおかしくない働きをしましたが、彼はもうこの世にはいません。英雄は今から必要だという文脈なので、ヴィリーを英雄にするというのはおかしいです。

となると、

マガトは自ら英雄になろうとしているのでは?

とも考えられます。

ヴィリーはマガトと初めて会った日、マーレには再び英雄へーロスが必要だと言いました。

これをマガトは自分の使命だと感じ、さらにヴィリーの思いを超えて「世界の」英雄になる必要に目覚めたとしたら…

「一番槍を入れたのはこの私だ」とアピールしたことや、獣の巨人との戦闘時にピークから退避を促されても「いいや!裏切り者は俺が裁く!」と引かなかったことも納得です。

敵のボスを自ら倒すことで自分がトップだと証明する姿勢は、ロッド・レイス巨人を自ら倒したヒストリアとも通じます。

自ら英雄に、というとなんか悪者っぽい表現になりますが、マガトに関しては私利私欲で動く人でないことは本編を読んでいればわかります。

世界最大のマーレ軍のトップという立場に立ったマガトは、国を守るという目標から、さらに大きな世界を救うという使命に目覚めたのでしょう。

主人公たちの所属するパラディ島とは敵対関係でありながら、マガト隊長→元帥はまさに英雄といっても良い懐の深いキャラクターですね。

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