第105話「凶弾」にて、メインキャラクターの1人だったサシャが死亡しました。
物語の最初期からムードメーカーとして活躍したサシャ。こういうキャラクターは最後まで生き残るタイプだと思ったのですが…
どうやら復活もなさそうでショックを受けた読者も多かったことと思います。
そしてその105話、サシャの死の衝撃に輪をかけるようなシーンがありましたね。
そう、
サシャが死んだ、と聞いたエレンが笑ったのです
え?え?なんで?
サシャが死んだんだよ?
この時のエレンの態度には仲間たちも信じられないというか、ドン引きの反応を見せています。
サシャの死に対するエレンの笑い。いったいどういうことなのでしょうか…
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エレンは性格が変わってしまった?
サシャが撃たれたのはエレンがマーレのレベリオ区を襲撃した日、戦闘が終わった後でした。
この時点でエレンたちがパラディ島の海に到達した回から4年の歳月が経っていることが明らかになっています。
物語はこの4年間をすっ飛ばした状態で進行。その間にエレンはマーレに潜入し、襲撃を強行したことになります。
周りから見たエレンの変貌
主人公らしからぬ、民間人をも巻き込んだ作戦を見た読者にはエレンは人が変わってしまったように映りました。
その上、仲間の死を聞いて「くっくっく」と笑うエレン。
後にコニーは
「お前らにはアレがエレンに見えたか?俺は違うと思う。あいつはエレンじゃない」
と言っています。
前後の様子とそれまでの経緯からエレンの本心を考察してみましょう。
サシャの死を聞いた時のエレンの表情
私としては「エレンが変わってしまったわけではない」と考えます。
確かに行動や表面上の態度には疑問点が多いです。
が、サシャの死を聞いた時の表情や様子からは心の動揺がみて取れます。
作戦後、久しぶりにリヴァイに会って蹴られたエレン。
「地下街で腐るほど見てきたクソ野郎のそれだ」
とリヴァイに言われた無表情かつ無関心な顔です。
「サシャが撃たれて、助かりそうにない」と報告を聞いた直後のエレンは態度や言葉にこそ出していませんが、明らかに動揺した表情に見えます。
ほんの一コマだけの顔ですが、仲間が死にかけたと聞いて何とも思わない、というわけではなさそうです。
さらに、サシャの死を知り「くっくっく」と笑った後のエレン。
顔を伏せていたので周りの人からは見えなかったでしょうが、苦悶の表情を浮かべています。
サシャとの昔の会話を思い出しながら、悔しさ、怒り、悲しみが混じりあったような顔。
うっすら涙をためているようにも。
(最後の言葉がちょっと面白かったにせよ)仲間の死を聞いてただ笑うだけの男がこんな表情をするとは思えません。
「お前らが大事だからだ。他の誰よりも…」
この事件の1年前にエレンが言ったセリフです。たった1年でこの気持ちが変わるものでしょうか?
あの笑いには何らかの意図もしくは意味があるように思えますね。
それも、仲間にさえ本心を明かせないという切実な理由が。
エレンの笑いの意味は?
ハンネスの死の時の笑い
以前にもエレンは仲間の死に際して笑ったことがあります。
恩人ハンネスが巨人に食われた時です。
もちろん、ハンネスの死がおかしかったわけではなく、子供の頃と変わっていない(と本人が思っている)無力な自分をあざける意味の笑いです。
この直後、エレンは号泣しました。
サシャが死んだ時にはこれほど盛大に笑いはしませんでしたが、同じような心境もあったのではないかと思います。
「サシャらしさ」に対する愛しさ
エレンが笑ったのは、コニーにサシャの最後の言葉を伝えられた後でした。
「肉」( ゚д゚)
まあ、確かにちょっと面白いんですが…
面白いだけで、仲間の死の悲しみを超えるほどの笑いが生まれたわけではないと思います。
サシャはこれまでもシリアスで笑えない場面でも、重たい空気を破壊する一言を放ったりしています。
ハンジも「サシャには敵わないな」なんて言ったりしています。
そんなところも仲間たちに愛されていたサシャ。
最後まで「らしさ」を失わなかったサシャに対するエレンの愛おしさ?みたいな感情があふれて出てしまったという部分もあったのではないかと思います。
笑いは演技だった?
とはいえ、やはり仲間が死んだ時に「くっくっく」と声に出して笑うというのは異常です。
エレンがおかしくなってしまったのでなければ「あの笑いには何らかの意図がある」というのが最大の理由だと思います
この後のエレンの行動などから察するに
自分がおかしくなったと思わせて仲間を遠ざけるための演技
だったのではないかと思います。
レベリオ襲撃はエレンの独断であったにせよ、会話からは仲間たちの援護を前提とした作戦だったことがうかがえます。
みんな来てくれたんだな
諌山創『進撃の巨人』第101話「戦鎚の巨人」より
君は我々を信頼し…我々は君への信頼を失った
諌山創『進撃の巨人』第105話「凶弾」より
しかしサシャが死んだ後、エレンの行動は独立性を高めていって、古い仲間たちを巻き込むことはなくなりました。
第112話「無知」では、ミカサやアルミンからわざと嫌われるような態度を取っていますが、これは仲間たちを自分=危険から遠ざけるためにやったのだと思われます。
このことか察するに、エレンは「サシャの死を契機にして」仲間から離れようと思ったのではないでしょうか。
そのために、とっさに自分を悪人に見せるための演技としてこの時の「笑い」があったのではないかと管理人は考えました。
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まとめ
サシャが死んだ時のエレンの心境はいろいろな思いが交錯した複雑なものだったと思います。
ここにあげた理由のなかに当たっているものはあるのか、いくつもの理由が混ざったものなのか、それとも全く違う理由があったのかもしれません。
皆さんはどのようにお考えでしょうか?
コメント
132話「自由の翼」読了の状態です。
今になってこちらの考察に辿り着きました!
130話「人類の夜明け」でも、エレンが自ら仲間から遠ざかろうとしてるのがわかりましたね( ; ; )
考察が素敵で、とても愛を感じる考察でした!!
他の記事もこれから読んでいきます!
コメントありがとうございます!
残酷さも交えた意外な展開が魅力な作品ではありますが、最後はベタでもいいからハッピーエンドを迎えて欲しいですね。。。
(しばらく更新できませんでしたが)ご意見を励みにまた書いていこうと思います!
ハンネスとサシャの死亡時のエレンの笑いは、2人とも昔と変わってないからだと思います!
もちろん悪意ある笑いではなく、2人だけでもなく、世界そのものが変わらず繰り返す・・・この意味合いが含まれての笑いな気がします!
だからそこエレンは、アルミンが言った「人間性を捨てれる者が〜」を心を鬼にして実行してるのだと思います!
全ては自分の仲間の為に
ご意見ありがとうございます!
確かに…世界に対してのやるせなさみたいな感じでしょうか。アルミンやエルヴィン団長の言った大事なものを捨てるということが物語全体のテーマという感じがしますよね!
一通り全記事を読んでしまいたが、考察が広く深く、脱帽です!
嬉しいお言葉!ありがとうございます!
最期の言葉は「NIKU」ではなく「NIKORO」と言いかけたのでは…とredditの書き込みで見ました。
海外ファンも深く悲しみながらも色々と考えたようです。
なるほど!それは考えもしなかったです。確かにそちらの方が物語としては成立しますね!肉よりは…
エレンが笑った理由で最初に自分が感じたのは、仲間たちの幸せと長生きを願っていたエレンが、その為に起こした行動の結果、その仲間を失うという最大の皮肉な結果に対して自嘲する意味合いもあったのではないかと思いました。
いやしかし深い…深いぞ進撃。なんの意味もないコマやシーンは一つとして無いんじゃないかと感じますよ。
あと、コメントされている方もいらっしゃいますが、サシャの最後の言葉「肉」は、その時周りにいた人間がそう聞こえただけで(特にコニー)実際はニコロと言えずに力尽きたのだと思うし素敵だと思います。んで、それをコニーが肉と聞き間違えたという仕掛けだと思います。(もちろん肉でもサシャらしくて良いですね)
遅ればせながら心にモヤモヤと残っていた気持ちから検索してここに来ました。
私も同じような感想は抱いておりましたが、何ともそれをうまく言葉にできずもどかしい状況でした。
それをとてもうまく表現されていて素晴らしい記事でした。
ありがとうございます。^^