壁内人類の真の王家、レイス家の当主ロッド・レイス。
始祖の巨人を継承する、由緒正しいエルディア帝国フリッツ王家(途中でカムフラージュのために名前を変えた)の末裔です。
物語中盤のキーパーソンであるとともに、いまだに謎の多い人物でもあります。
その中でも気になるのが、先代の王の長男でありながら、始祖の巨人は弟のウーリ、次いで長女のフリーダが継承している点です。
始祖の巨人は代々の王が継承することになっているはず。
ロッドの回想によると「弟が継承を買って出た」ということですが…
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「巨人になるわけにはいかない」発言
自分が利用されていただけだと悟り激昂したケニーに「自分が巨人になりたくねえから弟や娘に使命なすりつけるようなクズ」と罵られるロッド。
読者のみなさんとしてもまあそんな感じの人だろうと思って読んでいたことだと思います。
しかし、その後になんとも意味深なセリフが。
「私が…巨人になるわけにはいかないんだ…理由がある…」
第65話「夢と呪い」より
ふむ…何か事情があって巨人の継承を避けていたようですね。
さらにその後、自分を傷つけ暴言を吐いた上に脅迫したケニーを責めることもなく
「今までよくやってくれた」
「お前は自由だ…他の生き甲斐を探して長生きしろ」
と気遣っています。
この様子を見ると、ロッドはケニーの言うような保身のみを考えた小悪党ではないような気がします。
やはりロッドにはロッドなりの深い考えがあったのでしょう。
そのロッドが「巨人になるわけにはいかない」といった理由を考えてみましょう。
ロッドが巨人になれない理由を検証
問題は、その後の会話の中でも「コレが決定的な理由だ!」と断定できる部分が見当たらないことです。
いくつか本編から推測できる理由を検証してみましょう。
神に祈りを捧げる使命
ロッドが巨人になれない理由として一番有力視されているのがこちら。
「私の使命は神をこの世界に呼び戻し 祈りを捧げることにある」
第66話「願い」より
コレだけではちょっとよくわからないので前後の流れを説明します。
- 以前は始祖の前継承者である父に人類の敵である巨人の撲滅を訴え続けたものの、受け入れられなかったロッド。
- ところが、自分の代わりに始祖の巨人を継承した弟の目を見て全能の神の存在を感じ取る。
- 弟に神性を感じたロッドは巨人の撲滅を拒んだ父にもなんらかの理由があると悟ります。
- つまり巨人を生かし、人類を解放しないのは神(始祖の巨人)の意思である。
- ならば自分ごときが意見をするのではなく、全てを神である始祖の継承者に委ねて自分はただ祈るだけにしよう。
その祈る役目が自分にあるから巨人になるわけにはいかない、ということになるのですが…
なんか理由として弱いな、と感じます。
祈るのは自分が勝手に思いついたことですし、それで「巨人になるわけにはいかないんだ…理由がある」
というには説得力に欠けます。もうちょっと客観的な事実がないと納得できませんね。
巨人化に不適格だった?
ヒストリアに始祖の継承を拒まれたロッドは最終的に自分が巨人になり、始祖を継承しようと試みます。
しかしロッドの巨人はまともに歩行もできない不完全な巨人だった上、エレンを食って始祖を奪還するという目的すら忘れたような有様でした。
このことから推測するに、ロッドは体質的に巨人化に向いていなかったという可能性があります。
それがわかっていたために弟のウーリは兄に代わって継承を買って出、次は娘のフリーダが継承することになったのではないでしょうか。
こう考えると、ロッドが巨人になれないと言ったのもわかります。
継承者は13年しか生きられない
始祖を含む「九つの巨人」の継承者は13年で死ぬ「ユミルの呪い」があります。
当主たるものがたった13年しか生きられないというのは一族の運営に障害となるのは明白です。
ジャンが「進撃の巨人」を継承すると言った時にコニーが反対した理由も、指導者となる人物が13年で死ぬわけにはいかないだろう、というものです。
タイバー家の「戦鎚の巨人」も当主であるヴィリーではなくヴィリーの妹が継承していました。
これは継承者をカムフラージュする意味もあったかもですが、やはり当主が長期的に活躍できないのはデメリットが大きいですからね。
もっとも、ヴィリーは本人が覚悟していた通りに若くして散ってしまいましたが…
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神に祈りを捧げる=レイス家存続の管理者として生きる?
ここで話をちょっと拡張+総合して考えてみましょう。
- ロッドは巨人化不適格者
- 祈ることに役目を見出す
- 継承者は13年しか生きられない
まず、ロッドは巨人化に向いていない人物だと判明したとします。
レイス家は独自の巨人科学の知識を持っていたようなので、そのくらいはわかっても不思議ではありません。
その結果、ロッドは始祖の継承者から外れます。
こうして祈ることに使命を見出したロッドですが、そのセリフの中に「神をこの世界に呼び戻し 祈りを捧げる」とあります。
これを少し拡大解釈すると、「始祖がきちんと継承され続けることをサポートする役目」と意訳することができるのではないでしょうか。
そう考えると、ロッドがやたら子沢山だったことも説明がつきます。仮に継承者に何かあっても家系が途絶えるリスクが少なくなりますからね。
妾腹の子・ヒストリアの身分を隠し、訓練兵団に逃れさせたこともその保険だと考えられます。
こうして継承者を途絶えさせないように気を配り、13年の制約もなく一族の運営をしつつ始祖の巨人の継承を支え続ける役割をはたす。
これがロッド・レイスが「巨人になるわけにはいかない」理由ではないでしょうか。
物語の都合上”悪役”として描かれてしまうロッドですが、彼なりに人類の平和を願っていた真面目な人物だったのだと思います。
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