過酷な運命の中で必死に生きる人々を描く「進撃の巨人」。
手を汚し、どうしようもない負の感情を抱きながらも自らの信念のために突き進む青年たちの姿は痛々しくも美しい。
世の中は綺麗事だけでは動かない、という現実を伝えてくれる作品です。
そんな中、すがすがしいくらいの心のキレイさを見せてくれる少年がいました。
彼の名はファルコ・グライス。まるで少年マンガのキャラクターのようです。
この「進撃」の中では異例ともいえる最高にいい奴、ファルコの人生を追ってみましょう。
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兄とともにマーレの戦士を目指す
ファルコは兄・コルトとともにマーレ軍の戦士候補生として登場します。
2人とも優秀で、800人の戦士隊の中からコルトは「獣の巨人」の次期継承者、ファルコは巨人継承の候補生に選ばれています。
ちなみにファルコたちの一世代前の戦士隊がライナー、アニ、ベルトルト達となります。
とはいえ、コルトもファルコもそろって軍人向きではない穏やかな性格。なぜ彼ら兄弟がマーレ軍に入ったのでしょうか。
ファルコとあの「グライス君」との関係
ファルコは当初、突然現れた新キャラクターのように思えますが、すでに登場していたキャラクターと繋がりがあったのです。
エレンの父、グリシャが所属していた「エルディア復権派」のグライス君。グリシャを組織に勧誘した男です。
確かにファルコによく似ていますね。
彼はファルコの叔父にあたる人で、復権派の陰謀が発覚した時には「楽園送り」にされるメンバー達に先立って生身でパラディ島に放り出されて巨人を引きつけるエサにされてしまいました。
描かれてはいませんが彼は巨人となった仲間達に食べられてしまったことは確実です。かわいそう…
潔白を証明できないグライス君の家族も連座して島に送られましたが、近い親族にもやはり疑いの目は向けられます。
そこでコルトとファルコの兄弟は戦士隊に志願することでマーレへの忠誠を示し、なんとか処罰を免れようとしました。
努力の結果コルトが「獣の巨人」の継承権を獲得し、グライス家は名誉マーレ人となりようやく一家が安泰となりました。
これで家はなんとかなったので本来ファルコにはこれ以上がんばる必要はなかったはず。
ファルコまでが巨人を継承しようと必死なのは、候補生仲間のガビを巨人にさせたくないからでした。
九つの巨人の継承者は13年で死にます
相方のガビとパラディ島へ侵入
お人好しのファルコは傷病兵に扮してマーレに潜入していたエレンにせっせと世話を焼きます。
ファルコの(無意識な)お手伝いのおかげでマーレ軍の情報はパラディ島の仲間達に送られ、最終的にはレベリオ区が襲撃される大惨事となってしまいました。
自責の念に苛まれながらも敵に対する積極的な恨みや憎しみを見せないファルコに対して、相方のガビは持ち前の暴走力を発揮。
ファルコは「ガビ!?」「待て!」が口癖のようになっていきます。
飛行船に侵入、捕らえられる
死んだ兵士の立体機動装置を使ってパラディ島勢力の飛行船に乗り込むガビと、彼女にくっついていくファルコ。
そこでガビが決定的な事件を起こしてしまいます。
サシャを撃ったのです。
>>関連記事:エレンはなぜサシャが死んだ時に笑ったのか?
こうしてファルコはボコられたガビとともにパラディ島へ連行されることになりました。
暴走のガビ、常識人のファルコ
牢に勾留された2人は、仮病を使って看守に扉を開けさせ、脱出に成功。
その際ガビは例によって暴走、看守を半殺しにしてしまい、ファルコは例によってガビを止めて看守を心配します。
逃亡中に川で少女に声をかけられた際もガビは暴走しかけますが、ここはファルコの静止で思いとどまりました。
少女が暮らす牧場に世話になることとなった2人ですが、たびたび暴走するガビをファルコが止める、という吉本新喜劇並にパターン化されたやりとりを繰り返します。
そんなこんなで少しずつ現地の人々と打ち解けていく2人。
しかし、2人がマーレ人と知っていた牧場の少女・カヤの計らいで亡命マーレ人シェフであるニコロが働くレストランに連れて行ってもらった時に事件は起きました。
ファルコ、不意の巨人継承
料理に情熱をかけるニコロの絶品の数々に感動すら覚える牧場の面々。
そんな中、ファルコとガビはニコロにこっそりとマーレ人であることを明かします。驚くニコロに事の顛末を話す中で、サシャを殺したのがガビであると知られてしまいます。
ガビをかばって脊髄液混入
恋人(?)を殺した相手が目の前に現れたニコロは我を忘れ、持っていたワインの瓶で殴りかかってしまいます。
ファルコはとっさにガビをかばい頭をワインボトルで強打、中身のワインが口の中に入ってしまいます。
そのワインはなんとジークの脊髄液入り。それを飲んだ者はジークの叫びによって無垢の巨人とされてしまう「座標」を埋め込まれてしまうのです。
ワインは兵団上層部に飲ませるための裏工作用アイテムでした。
そして後日、シガンシナ区でのマーレ軍襲撃が始まるとジークがワインを飲んだ兵士たちを巨人化させる可能性が濃厚になります。
もうじき巨人となってしまうかもしれないファルコはガビに思いを告白。兄コルトとガビと3人で助かる道を探します。
しかし願いも虚しくジークは巨人化を発動、多数の兵とともにファルコは無垢の巨人となり、兄コルトはその時の爆風で帰らぬ人となってしまいました。
このままファルコは巨人として倒されてしまうのかと思った矢先、死を悟ったポルコがファルコの前に身を差し出し、自ら捕食されます。
こうしてポルコは「顎の巨人」を引き継いで無事に人間の姿に戻ることができました。
初の巨人化はやや暴走気味
エレンの覚醒により強制終了となったシガンシナ区での戦いのあと、生き残ったマーレ戦士隊のメンバーと調査兵団は手を組み、エレンを止めるために行動をともにします。
イェーガー派に占拠された港を奪取するために戦闘になりますが、予想以上の苦戦。
ファルコは巨人の力を使って味方に加勢しようとしますが「初めての巨人化はうまくいかない」とピークに静止されます。
が、ファルコは静止を振り切って巨人化。
この辺から止める側から止められる側になっていきます
見事イエーガー派を撤退に追い込みますが、やはり制御が効かずに暴走。強引に巨人から引き離されてことなきを得ます。
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物語最後のキーパーソンに?
エレンを止めるために飛行艇に乗り込んだアルミン達と別れ、ファルコ、ガビ、アニはヒィズル国行きの船に乗ります。
このまま危険な戦いから身を引くのかと思いきや、ファルコは夢の中で空を飛んでいたかつての継承者の記憶を見ます。
>>参考記事:ファルコが鳥の能力を継承?複数の巨人化能力の謎に迫る
そして「自分にもできる気がする」と結構ムチャなことを言って巨人化しようとします。
アニには「船が耐えられなくなったら沈没して全員死ぬ」「巨人の力を制御できなかったあんたができると思うの?」と必死で止められます。
しかし、キヨミ・アズマビトに「後悔が増えるくらいなら」と諭され…
どうやら、物語最後の鍵はこのファルコが握ることになりそうですね。
最初から最後までとにかくいい奴なファルコ。彼はガビと幸せな最後を迎えられるのでしょうか。
コメント
ここ数日、最終話の公開を心待ちにしながら楽しく読ませていただきました。過剰な広告や装飾もなく、作品への愛情を感じる考察サイトでした、もっと早く出会いたかった!原作が完結してもこちらの記事を読んで私も考察を深めたいです。
最終話、楽しみですね。